君がうたう七つの子
僕は慎重に言葉を選び、紡ぐ。

「今、レイはこの部屋にいます」

僕の言葉に二人は一斉にあたりを見渡す。

だが、勿論未だ呆然と立っている彼女の姿など見えるはずはなく、やがて僕のもとへと視線が落ち着く。

「ここからは、お二人が信じるかどうかです。

僕をでは無く、彼女の存在を」

そして大仰にレイのほうへと手を向けた。

さながら、マジックショーをするマジシャンのように。

まあ、今回はその実、詐欺師だが。

「レイは今そこに立っています。

そして今日は互いに言っていた”一区切り”

すなわち四十九日です。

だから、レイがお二人と話す機会は今日が最後。

僕がここにいる、この時が最後です。

しかし、レイはまだ迷っています。

あなたたちに何を話すべきかと。

何を残すべきかと」

ここで静かに間をあける。

人を引き付ける話に間はつきものだ。

特に、嘘をつくときは。

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