君がうたう七つの子
「まったく、卑怯だよ。

しょう君」

彼女は強めていた視線をゆっくりとやわらげた。

僕もそう思うよ。

でもこうでもしなければ、レイはあれこれ理由を付けてしまうだろうから。

それに、僕が二人に与えたのはただの一本の蜘蛛の糸で。

それは他者から影響を受けてしまえば、すぐに切れてしまう頼りないものだ。

だからそれを、レイの言葉をもって強く、太く、頑丈なものに変えなければならない。

決して切れることなどないように。

再び地獄に落ちることなどないように。

「――――さてと。このくらいで、八つ当たりはやめようかな。

ここまでお膳だてされちゃあ、私も覚悟きめなきゃだよね。

私の馬鹿な心配事も、杞憂に終わったことだし。

終わらされたことだし」

そういった彼女は、深く深く息を吸い込んだ。

それを見て僕は悟る。

覚悟を決めたのだと。

別れを告げる覚悟を。

「じゃあ、しょう君。

よろしくね。

一言一句、間違えないでね」

少しいたずらっぽく微笑んだ彼女に僕は無言でうなずく。

それにまた少し笑った彼女は、自分の両親へと視線を合わせて、口を開いた。

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