君がうたう七つの子
「久しぶりって言った方がいいのかな。

私はずっと二人を見ていたけど、こうして会話するのも、私の存在を感じることも二人とも無かっただろうから、やっぱり久しぶりだね。

――うん、そう。ずっと見ていたよ。

お父さんの事も。お母さんの事も。

――――そんなに謝らないでよ。

あれは完全に私の落ち度だし、不注意と怠慢がうんだものなんだから。

そこに、お父さんとお母さんのミスなんて一つもないし、それでも二人が自分を責めるってことは、私が自分では何も考えられない、何も抱えきれない愚か者だって言っているようなものだよ。

私は確かに子供だけど、あれくらいの分別はつくくらいには子供じゃないつもりだよ。

――――もう!それ以上謝るなら、もう話さないよ。

――――うん、よし。

それにね、私二人に謝らなきゃいけないことがあるんだ。

先に死んじゃったことは勿論なんだけど、その後の事。

私ね、二人が私の死の事に後悔しているのを見てね、そのまま後悔していればいいと思っていた。

あ、さっき言ったように二人に責任があるからとかじゃないからね。それだけは忘れないで。

しょう君―――あぁ、今私の代わりに喋ってくれている男の子の名前なんだけど、しょう君が二人に言っていたのは、私の気持ちなの。

うん、後悔がなきゃ私の事忘れるんじゃないかって話ね。

――――わかっているよ。そんなことないって。

ううん、やっとわかったというか、確信できたって感じかな。

お父さんと、お母さんの口から聴いて、それがその場限りの嘘じゃなくて真実なんだって。

だから、それを謝ろうと思って。

二人の事を信じられなかった私を許してとは言わないけど、だからと言って謝らないのも駄目な気がして」

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