君がうたう七つの子
レイはそれを優しく見つめて、次に母親のほうへ視線を動かす。

「お母さん。

私ね知ってるよ。

さっき親の気持ちは中々伝わらないって言ってたけど、私にもわかっていることあるよ。

お母さんが怒る時はいつだって、私の事を考えてのことだって。

だから、あの日の事もそうだってわかっているよ。

ありがとう。

私の為に怒ってくれて。教えてくれて。

それと、お母さんも最近ろくにまともなご飯食べてないでしょ。

私見ていたから知っているよ。

凄くやつれちゃったし。

私ね、綺麗なお母さんが、優しくて、でも怒ると怖いお母さんが大好きなの。

だから、お母さんも体には気を配ってね。

あと、頑張って気を張っちゃうお父さんのこと、お願いね」

「うん、うん。

私もレイの事大好きよ」

レイのいる方向を必死に見つめながら、泣きじゃくる母親もレイの言葉にうなずく。

大好きよと繰り返して。

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