君がうたう七つの子
レイはそんな二人を見て、すごく悲しそうにみ見て泣いていた。

互いに見ているはずなのに、それでも交わることのない視線に。

だから、レイは二人とせめて自分から視線を合わせようとするけど、

二人はそんなことに気付く事も無く、視線だけが合ったとしても見つめあっているとは到底言えない。

そのことを改めて認識したレイは悔しそうに唇を噛みしめながら泣いていた。

ぼろぼろと、顔をぐしゃぐしゃにして。

声にならない唸り声の様なものをあげて。

僕はそれを二人に伝えることもできけど、そうせずにただレイを見つめた。

お父さん、お母さんと繰り返し呼んでは泣く彼女を、ただ見ていた。

互いを想って泣く家族を、見ている事しかできなかった。

やがて、レイは無理に視線を合わせる事も無く、再び二人に語り掛けた。

その声はたどたどしく、聞くだけで悲しい声をしていた。

でも、二人にはそれがわからない。

僕は彼女の言葉を伝えることはできるけど、感情を、想いを伝えることはできない。

< 159 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop