君がうたう七つの子
見上げていた視線をレイに戻すと、レイはまだ空を見上げていた。

「今度は僕からの質問、いい?」

「どうぞ」

「―――――レイは、本当に今日いなくなるの?」

「うん、いなくなるよ。

あとどれくらいかな。一時間前後くらい、かな。

私が死んじゃった時間になったら、もうそこで終わりだから」

「自分でわかるものなの?」

「わかる、というより知っているって感覚かな。

あぁ、もうすぐだなぁって

すっごく正確な体内時計が埋め込まれてるような感じ

だから、お父さんたちの言う四十九日が、自分が消える日だってわかった時には驚いたものだよ」

自分がいなくなることを、何でもないことのように言ってはいるものの、声にはそれに対する不安、恐怖、切なさがにじみ出ているように震えていた。

相も変わらず、変に強がる彼女に僕は思わず苦笑する。

「そう。

じゃあ、それが来る前にレイも楽にならなきゃ」

「――――どういうこと?

私はさっきもうお父さんたちに言いたいことは言ったから。

もう―――」

そういう彼女に回り込むようにして立つと、彼女の見上げていた顔を覗く。

「そんな顔で何を言っているのさ。

説得力が全然ないよ、レイ」

レイの顔は、今までの道中我慢していたのであろう涙で濡れていた。

レイはそれを隠すように僕から顔を背けて、腕でこするようにしてそれらをふき取る。

でも次々にあふれてくる涙にその動きが追いつくことはなく、涙がレイの頬を流れ落ちて雫になっては、空間に消えていく。

地面を濡らすことなく、消えていく。

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