君がうたう七つの子
そして――――


「しょう君、知ってる?

最後の恋のほうが忘れられないんだよ。

ユーレイになってからの恋なら、尚の事ね」


そして、消えた。

まとっていた光が強くはじけて、それに瞬きをして、目を開いた時にはもう、彼女はいなかった。

光を一かけらも残すことなく、沢山の思い出と、幸せと、感情と

唇に残ったほのかな冷気だけを残して、消えた。

行くべき所に、逝った

いなくなった。

「レイ?」

小さく彼女の名前を呼ぶ。

返事はない。

「レイ」

もう一度呼ぶ。

返ってくるのは、虫の音と、少しのざわめきだけで、陽だまりの明るさを持つ彼女の声は聞こえない。

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