君がうたう七つの子
それを確認して僕は、今まで我慢していたものを開放する。

あふれ出てくる涙を、切なさを、もう止めることはできなかった。

レイとは違って、次々に地面を濡らしていく涙をそのままにする。

もう我慢することはない。

だって、レイはもういないのだから。

「う、うぅ。ああああああああああぁぁぁぁぁぁ」

力の限り叫んだ。

近所迷惑だとか、また変な噂流れるだとか、そんなのは考えられなかった。

代わりに浮かぶのは、もしもの話。

僕は考える。

もし、レイが死んでいなかったら。

僕らはあの日、ここで出会って、それなりに仲良くなって、新学期になったらよろしくなんて言ったりして

学校が始まったら、一緒に帰ったりして

恋をしたりして――――

いや、そこまでは望まない

僕はレイ、君が生きていればそれで

それでいい。

僕をもう一度好きになってだなんて、そんなわがままは言わないから。


生きてさえいれば、それで―――


そんなことを取り留めも無く考えて、願って、祈って―――

それでも彼女は帰ってこなかった。

レイは戻っては来てくれなかった。

それを実感して、それでもまた懲りずに同じことを考えて、願って、祈って。

変わることのない現実を恨みながら、帰ってこない彼女を想いながら

涙を流し続けた。

僕には、そんなことしか、できなかった。
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