君がうたう七つの子
「そういえば、最近また予言者の子と連絡を取り出してね。

あの子は所謂恩人みたいなものだから、一度お礼をしたいのだけれど、中々予定が合わなくて。

暫くおあずけになりそうだ。

このままだと、受験が終わった後にでも会うことになるかもしれないな。

彼女には申し訳ないけど、こればっかりは仕方ないよね。


―――うん。

近況報告としてはこれくらいかな。

これから受験もあって忙しくなるから、今までの通り頻繁に来ることはできないけど、心配しないで。

僕がレイを忘れることなんて、あるはずもないから

それは、今のレイならわかるだろう?」

そう言って僕は空を見上げた。

オレンジ色に染まった空には、雲が点々と浮かんでいた。

あの雲の上にレイはいたりするのだろうか。

だったら、間違えて落ちてきてくれないかななんて、絵空事を考えつつも、空に思いを乗せる。



僕は君を忘れない。

なんといっても初恋だからね。

これから何かがあるたびに、僕は君の事を想うだろう。

隣に君がいたならと。

そんな僕を見て、君は笑ってくれたらいいな。

忘れるなんて、馬鹿な心配したなって。

あの、無邪気な笑顔で

笑ってくれたらいい。

そして

君がうたう歌を、空に響かせてくれたらいい。

もしそれが聞こえたら、その時には教えてあげる。

僕の名前、本当は平仮名じゃなくて、漢字で笑うって書くんだよって。

あの時は、似合わないと笑われるかもしれないと思ったけど

でも今なら、あの時よりはこの名前に近づけた気がするから、教えるよ。




< 180 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop