君がうたう七つの子
僕の思惑にも、負った無駄なダメージにも気付くことはなく、彼女は僕の斜め前に腰をおろした。

おそらく僕が描きやすいように配慮してくれたのだろう。

彼女に小さくお礼を言って、早速僕は絵を描き始める。

「ねえねえ、話しかけても大丈夫?」

「うん、構わないよ」

僕の邪魔にならないかの確認をとってくれる。

今までの行動は子供っぽい所も多々あるが、人への気遣いはしっかりしているらしい。

そういうアンバランスな部分もあって、憎みきれない自分がいる。

「昨日会った時から思っていたんだけどさ、しょう君って霊感強いの?」

「いや、そんなことないと思うよ。

幽霊なんて君・・・レイがはじめてだからね」

途中名前を呼ばなかった事にジロリとこちらを見てきたので、慌てて言い直す。

「へぇ、そうなんだ。

じゃあなんで私のことは見えるんだろう」

「さあ。僕にはさっぱりだね。」

「もしかして運命ってやつなのかな。

前世の恋人だったとか!会うべくして会った、みたいな」

言っている内容はロマンティックなものだが、表情はいたずらをする子供のようだった。

にひひという表現が似合う笑い方をしている。

どうやら僕をからかっているらしい。

< 21 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop