君がうたう七つの子
僕の笑い声とレイの怒りがおさまった頃、レイはあっと間抜けな声を出した。

「そろそろ暗くなってきちゃったね。」

「ん?あぁ、そうだね。夏とはいってもこの時間になると、流石に薄暗くなるね。」

キャンパスに描いた絵もやっと見えるかというくらいだ。

どの家庭も今が食事時だろう。

だけどどこからか漏れてくる淡い光のおかげで、足元が見えずらくなるという事にはなっていなかった。

このあたりに街灯とかあったけと、疑問に思いながら顔をあげるとあった。

街灯では無かったが。

わざわざ探そうと頭を振る事も無く僕は光源を見つけた。

光源というにはあまりに頼りない光ではあったけれど、暗闇の中ではよくみえる。

幽霊である彼女が、淡く光っていた。

「レイ、体、光ってるよ」

初めて見た彼女の異常状態、いや僕の肩を透けていった手の事があるから二回目か、それに僕は少し、いやかなり腰を引きながら彼女に問いかけた。

ここで大声をあげて逃げ出さなかった僕を誰かに褒めて貰いたいのだが、誰もいないし、いたとしても見えないだろうから自分で褒めることにする。

今やセルフサービスは当たり前の時代だ。

などと、あくまで僕の脳内だけでも現実逃避をしていると、彼女はあぁ、これねと言いながら、ファッションショーでランウェイを歩いてきたモデルのように、その場で鮮やかに一回転した。

本物のモデルさながらだ。

そんな彼女に光が追いかける様にして、遅れてついてくる。

僕によく見えるように配慮してくれたのだろうが、今はそういうのいらない。

僕が欲しいのはレイが何故光っているのかに対する答えだ。

「綺麗でしょ。

よくわかんないんだけど、陽が落ちて暗くなると、ぼんやりと光りだすんだよねぇ。

幽霊だからかな?」

僕に聞かれても知らない。知るはずもない。

彼女の答えは得心がいくものではなかったが、彼女の言った通り幽霊だからという事でおさめることにした。

テレビで見るような幽霊らしい青白い光だったことも、それができた要因の一つかもしれない。

これが毒々しい色とかだったら、流石の僕も逃げ出しかねなかった。
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