君がうたう七つの子
やっと心の平穏を取り戻した僕に彼女はそういえばと声をあげた。
「しょう君帰った方がいいんじゃない?家の人も心配するだろうし」
「大丈夫だよ。共働きで、二人とも帰るのは遅いから。
なんなら、二人が帰ってくるまでここにいてもいいよ。」
僕に会いにきてとお願いした彼女なら、意外に寂しがりやの彼女なら喜ぶと思った。
一人でいる時間が減ることに。
それに僕も夜遊び、とまではいかないものの、暗い中で過ごすというのに興味があった。
今までは、優等生よろしく日が暮れたらすぐに家に帰っていたためだ。
というより、夜になるまで遊びたいという友達がいなかったからなのだが。
「でも、暗いと絵も描けないでしょう?
それにね、足元も見えづらいし、転んじゃうかも。
夜って怖いんだよ。私なら大丈夫。
散歩してたらあっという間に朝がくるから」
だから、お願い。私が心配なの。
何をそんなに必死になっているんだと言おうとしたが、今にも泣き出しそうな顔で、必死に声を絞り出す彼女に僕は何も言えなかった。
軽い気持ちで言ったことに罪悪感を感じた。
だから、代わりに約束をした。
「また、明日」
彼女はその言葉に笑った。
「うん、またね。」
そう言って彼女は土手の坂を登る。
その途中で突然立ち止まり振り返ると
「それとしょう君の描く絵、私好きだよ」
そして今度こそ彼女は土手を登り、僕の家と反対方向へ歩いて行った。
「いきなり、なんだよ」
僕は頬の熱が冷めるまで、暫くその場を動かなかった。
「しょう君帰った方がいいんじゃない?家の人も心配するだろうし」
「大丈夫だよ。共働きで、二人とも帰るのは遅いから。
なんなら、二人が帰ってくるまでここにいてもいいよ。」
僕に会いにきてとお願いした彼女なら、意外に寂しがりやの彼女なら喜ぶと思った。
一人でいる時間が減ることに。
それに僕も夜遊び、とまではいかないものの、暗い中で過ごすというのに興味があった。
今までは、優等生よろしく日が暮れたらすぐに家に帰っていたためだ。
というより、夜になるまで遊びたいという友達がいなかったからなのだが。
「でも、暗いと絵も描けないでしょう?
それにね、足元も見えづらいし、転んじゃうかも。
夜って怖いんだよ。私なら大丈夫。
散歩してたらあっという間に朝がくるから」
だから、お願い。私が心配なの。
何をそんなに必死になっているんだと言おうとしたが、今にも泣き出しそうな顔で、必死に声を絞り出す彼女に僕は何も言えなかった。
軽い気持ちで言ったことに罪悪感を感じた。
だから、代わりに約束をした。
「また、明日」
彼女はその言葉に笑った。
「うん、またね。」
そう言って彼女は土手の坂を登る。
その途中で突然立ち止まり振り返ると
「それとしょう君の描く絵、私好きだよ」
そして今度こそ彼女は土手を登り、僕の家と反対方向へ歩いて行った。
「いきなり、なんだよ」
僕は頬の熱が冷めるまで、暫くその場を動かなかった。