君がうたう七つの子
眠りながらもわかるのは、やっぱりどこか惹きつけられるようなものがあるということ。

それと相まって青白い光をヴェールのようにまとっているから、神秘的でさえあった。

今ここにスケッチブックを持っていないことが悔やまれる。

こんなに美しく儚いものは、僕の人生でもうお目にかかれることはないだろう。

せめてもと、とにかく目に、脳に、心にその姿を焼き付けようと見つめる。

すると、僕の視線に気づいたのか、はたまた神から起きる様にお告げがあったのか、彼女はゆっくりと瞼を持ち上げる。

ゆらゆらと視線を動かし、焦点がようやく合うと一気に目を見開いた。

そこにはもう先程までの雰囲気は欠片も無く、内心少し、いや非常に残念に思いつつおはようと声を掛ける。

「え、あ。おはよう?」

目は完全に開いているものの、まだ寝ぼけているのか言葉はおぼろげだった。

「ここがどこだかわかりますか?」

「へ、はい。川の傍にある木の下です」

「あなたの名前は?」

「レイです」

「それじゃあ、僕の名前は?」

「しょう君です・・・あっ、しょう君だ」

寝起きはあまりいいほうでは無いらしく、反応が鈍いので面白がってごっこ遊びをしていると、途中でやっと覚醒したレイがはっきりと声をあげた。

しまった。レイを観察してから接触するかどうか決める予定だったのに、想定外の展開が連続して忘れていた。

自分の迂闊さを恨む。とにかく恨む。

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