君がうたう七つの子
黙ったまま、静かに混乱している僕を置いて、置き去りにして彼女は話し続ける。

「なんでだろうね。話のテンポが合うからかな。

ここまで早く打ち解けられるなんて、不思議だよ。

私って愛想は良いんだけど、相手になれるまでにそれなりに時間かかるはずなんだけどね。

しょう君が相手だと違うみたい」

何も言わない僕に気付いているのか、いないのか。

彼女は話し続ける。 僕がいるのに一人で。言葉をつないでいく。

それは、まるで大きい独り言のようで―――

一人笑いながら話すレイに対して、急に込み上げてくる強い焦燥感に思考が、感情が振り乱される。

「こういうの初めてだから、ムズムズするよ。

あぁ、そういえば今日は何か用事が」


「どうして」


「ん?」

「どうして、そうやって一人で笑うんだ。話すんだ」

僕がいるのに、目の前に僕がいるのに彼女は独り言のようにしゃべる。

まるで、僕が見えていないかのように、僕のほうが幽霊なんじゃないかと思ってしまうほどに。

もしかしてこれが彼女の仕返しなんだろうか。

それなら効果はてきめんだ。

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