君がうたう七つの子
「どうして怒らないの?」

思わず口に出した疑問。

さっきまでは期待していなかったものを、僕は今欲している。

矛盾した感情に、僕自身何を考えているのか。

「なんで?」

「なんでって・・・約束を破られたら泣いたり、怒ったりしないの

それとも、レイはそれすら許せるというの」

僕らはまだ子供だ。

なんでも許すよなんて、簡単にはいえない。

ちょっとしたことで喜んで、怒って、哀しんで、楽しむ。

それで人間関係を壊したり、築いたり、修復したりする。

そうやって大人になっていく。

なりたくなくても、大人になる。

「許せるよ」

そのはずなのに、彼女は簡単に言うのだ。

何でもないことのように、当たり前だよと言わんばかりの表情で。。

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