君がうたう七つの子
「だって考えてもみてよ。

しょう君は生きてて、私は死んでいるもの。

死んでいる私より、生きている相手を優先させるのは当然だよ。

なんなら考えなくてもわかることじゃないの」

私間違ってる?なんて声が聞こえてきそうなほど、彼女の言葉に嘘はなく、本気でそう思っていることが伝わってくる。

いや、間違っていない。

確かに死者よりも生きているものと交流を深めるほうが、実利的で、有効で、賢い。

死者はその姿が見えるものにしか影響を与えられない。

見えないものにも影響を与えてしまうことも、悲しいことにたまにあるけれど。

死者とどんなに仲良く、大切な存在になっても、他人にはわからないし、知られない。

自分の世界が狭くなることだってあるかもしれない。

人に認められないのは、知ってもらえさえ出来ないのは悲しい。

でも、生きている人となら一緒に生きていける。

その関係性を知ってもらえる、認めてもらえる。

その人と、新しい世界に行ける。

だから、レイのいう事は間違ってない。

だけど、間違っていないけど・・・

それはレイが言うべき言葉じゃない。

否、違う。そうじゃなくて。

言うべきとかじゃなくて

そう、僕の本音では―――レイに言ってほしくなかった。

< 57 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop