君がうたう七つの子
それに、もしレイの中で、僕が大きな存在であれば、彼女はこんな風に穏やかではいられなかったかもしれない。

そう考えると、今の僕は彼女にとっては、まだ大した存在ではないということ?

とすると、何だかダメージがじわりじわりとくる。

激しいものではないけど、強いものではないけど、ズキズキと胸を締め付けてくるような。

――――出会ってまだ三日目なのに、こんな気持ちになるなんて。

僕はレイを気に入っている・・・らしい。

彼女の言っていた運命というのも、今では冗談半分くらいには信じられるほど。

物珍しさもあるだろうが、こんなことは今まで無かった。

他人にここまで心を乱されるなど。

予言者の彼女の言葉を思い出す。

ついさっき言われたばかりの言葉を。

『あなたは近いうちに、大切なことに気づくでしょう。

そして、自分の中に起こる変化も大きくなって無視できなくなります。

その時は・・・


その時はどうか、自分の感情に従ってまっすぐ走って下さい』

今なら、僕の中に変化はあると、少しは認めてもいいかもしれない。

ほんの少しだけならば。

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