君がうたう七つの子
その後も2人で取り留めのない会話を続ける。

時折彼女が僕の絵をみようと、そっと後ろに回り込んでくるが、見られる前にスケッチブックを抱き寄せて隠す。

「ケチ!ケチんぼしょう君めー。

ちょっとくらいいいじゃないか」

「だめだよ。

僕と君の取引は、絵の被写体をしてもらうのと、毎日会いにくることだろう。

絵を見せるとなると、また別の話だよ。

風景画ならまだいいけれど、君の絵は見せられないな。

あと、ケチんぼっていうな。

僕は決してケチでは無い。

なんといっても、前の学校では仏のしょうさんと呼ばれていたんだ」

「明らかな嘘をさらっと混ぜないで!!

・・・むう。頭硬いなぁ。

あっ、じゃあさ。私のセクシーポーズを見せてあげるよ!

これなら問題ないでしょう」

そういいながら体をクネクネさせている。

彼女はセクシーポーズとやらをしているつもりなのだろうが、僕には大きいミミズにしか見えない。

本人も何が正解かわからずに、手探りでやっている感じだ。

「問題あります。

レイのセクシーポーズは見なくていいし、むしろ見せられる僕にレイは何かあげるべきだよ。」

「なにそれー。失礼だな!

これでも私結構人気だったんだよ。モテモテだよ」

まあ、それはわかる。

長い髪は風に揺れてさらさらしていて、目は大きくてまつ毛も長い。

美少女とまではいかないが、愛嬌があって、あどけない姿に惹きつけられる人は多いだろう。

でも、と僕は思う。
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