君がうたう七つの子
その後、レイはいつも通りに振る舞っているように見えたけど、それでもどこかぎこちなかった。

僕との会話もいつもは鬱陶しいくらいに喋るのに、今日は歌を歌ったり、ぼーっとしていたりで、いつもの彼女の面影は見えなかった。

別れ際になってもその様子は変わらずで、僕は今朝見た紺色にカラフルなものが散りばめられたチラシを思い出した。

「明日、花火祭りに行かない?」

土手に上がりきる前にいった僕の言葉に、数歩先を歩いていた彼女はキョトンとした顔で振り返った。。

僕がいきなりそんなことを言うとは思っていなかったのだろう。

その反応に僕は失礼なとは思わない。

僕自身、祭りに行こうだなんて誰かを誘う日が来るとは思っていなかった。

今でも自分の口から出たものだとは信じられないくらいだ。

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