君がうたう七つの子
あぁ、でも彼女に幽霊らしいところはあまり感じないので、ただ単に彼女自身が僕にとっての初めての事なのだろうか。

確かに彼女の様なタイプは初めてだったし。

僕があまり人と関わらない子供だったのも原因の一つでもあるけど。

僕は土手への道を歩きながら、とりとめのないことを考える。

しかしいつもより人の多い道を通るには、あまり考え事をしているとぶつかりそうだと判断して、それを中断する。

道行く人々の恰好からは、祭りが楽しみだと手に取るように感じられた。

浴衣や甚兵衛を着ている人。

いつもよりおしゃれをしている人。

その多くが複数で歩いていて、一人歩いている人はまばらだが、きっと誰かと待ち合わせているのだろう。

本当に一人で花火を見る人は、きっと少ない。

僕も一人で見るわけではないが、はたから見ればそうは見えないだろう。

でも構わない、僕にはもう一人が確かに見えるのだから。

確かにレイがいるのだから。

そうして暫く歩いていくと、土手が見えてきた。

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