君がうたう七つの子
しかし、それは口にはできない。
なので他の言葉で彼女に対抗しようと口を開いたが、言おうとした言葉が音になる前に、他の迫力ある音が周りに響き渡った。
鼓膜を揺らさんばかりの、独特の音――――花火だ。
僕の言葉を遮るように花火が上がりだした。
道中他人の話を聞くところによると、今年は気合を入れているのか、多めの花火を用意しているという。
だからか、もったいぶらずに次々と打ち上げていくその様は圧巻だ。
チラシに乗っていたカラフルな色彩など笑えるほどに、様々な花火が開いては消え、暗い空を打ち消し、色鮮やかに彩っていく。
時折見える雲の影が、更に幻想的な世界を引き立たせている。
「すごい、すごい!すごくきれいな花火だね、しょう君!」
いつの間にか、僕の隣に腰を下ろし興奮している彼女は、僕のほうに振り向きながら、いつもより大きい声で、大きい笑顔で話しかけてくる。
花火が綺麗だと。嬉しそうに、はしゃぎながら。
だけど、そういっているレイもその綺麗な世界の一員になっていた。
彼女がまとっているいつもは青白い光が、花火の色に合わせて染められていき、その後ろでは花火が躍る。
淡い光越しに見える花火は初めてのもので、夢で描いてもこれ以上美しいものは見れない。
絶対に。
そしてその全てを後ろにたずさえ笑う彼女もまた同じだ。
僕は夢でも見ているんじゃないだろうか。
今も。あの日レイが眠っていた時も。
さっきまでの彼女への苛立ちなどかき消えていった。
代わりに、いやそれ以上にこの美しき世界への感動で僕の心は塗りつぶされていく。
「うん、そうだね。
とても。とてもきれいだ」
うわ言のように呟く僕を、レイは自分と同じように花火に見とれているのだろうと思ったのか
「ね!」
と言って、再び花火へ目を戻す。
僕も同じように花火に目を戻す。
時々、彼女に気付かれないようにちらりと横を見ては、額縁に収まりきれない美しさを持つその世界に、純粋な感動と、自分でもわからない込み上げてくる切なさに浸った。
なので他の言葉で彼女に対抗しようと口を開いたが、言おうとした言葉が音になる前に、他の迫力ある音が周りに響き渡った。
鼓膜を揺らさんばかりの、独特の音――――花火だ。
僕の言葉を遮るように花火が上がりだした。
道中他人の話を聞くところによると、今年は気合を入れているのか、多めの花火を用意しているという。
だからか、もったいぶらずに次々と打ち上げていくその様は圧巻だ。
チラシに乗っていたカラフルな色彩など笑えるほどに、様々な花火が開いては消え、暗い空を打ち消し、色鮮やかに彩っていく。
時折見える雲の影が、更に幻想的な世界を引き立たせている。
「すごい、すごい!すごくきれいな花火だね、しょう君!」
いつの間にか、僕の隣に腰を下ろし興奮している彼女は、僕のほうに振り向きながら、いつもより大きい声で、大きい笑顔で話しかけてくる。
花火が綺麗だと。嬉しそうに、はしゃぎながら。
だけど、そういっているレイもその綺麗な世界の一員になっていた。
彼女がまとっているいつもは青白い光が、花火の色に合わせて染められていき、その後ろでは花火が躍る。
淡い光越しに見える花火は初めてのもので、夢で描いてもこれ以上美しいものは見れない。
絶対に。
そしてその全てを後ろにたずさえ笑う彼女もまた同じだ。
僕は夢でも見ているんじゃないだろうか。
今も。あの日レイが眠っていた時も。
さっきまでの彼女への苛立ちなどかき消えていった。
代わりに、いやそれ以上にこの美しき世界への感動で僕の心は塗りつぶされていく。
「うん、そうだね。
とても。とてもきれいだ」
うわ言のように呟く僕を、レイは自分と同じように花火に見とれているのだろうと思ったのか
「ね!」
と言って、再び花火へ目を戻す。
僕も同じように花火に目を戻す。
時々、彼女に気付かれないようにちらりと横を見ては、額縁に収まりきれない美しさを持つその世界に、純粋な感動と、自分でもわからない込み上げてくる切なさに浸った。