君がうたう七つの子
それは、一か所にまとめて花やお菓子、飲み物が置いてあること。

こういうのはドラマや漫画で見た事しかないが、そこで何かしらの事故があって、誰かが亡くなったんだろうなということはわかる。

軽い気持ちで見に行くべきでは無いというのもわかるけど、僕の中の好奇心のまえでは、常識など意味をなさなかった。

土手の上から慎重に降りて、目的の場所へとそろそろ近づいていく。

なんだか悪いことをしている気分だったけど、見るだけだから大丈夫と自分に言い聞かせて歩みを進める。

近づいて気づいたが、花などのお供えの他にも手紙が置いてあるようだ。

しかし、表面の字は雨で濡れてしまったのか滲んで読みにくい。

僕はさらなる好奇心に身を預け、その手紙を掴もうとした。



「それは私へのお供えであって、君へのものじゃないよ。泥棒さん。」


突然の人の声。

僕は手紙を掴もうと伸ばした手をそのままにし、声のしたほうへ振り返った。

そこには、僕が通う予定の中学校の制服に身を包み、背中まである髪を風に揺らして、腕組みをしながらこちらをじっとみつめる少女がいた。
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