君がうたう七つの子
しかし、変な質問をしてきたな。

行事に参加しなくとも、季節は関係なくやってくるものだろうに。

大体それをいうのなら、最近は四季の移り変わりを謳って、その季節に応じた行事があるここ日本でさえ、地球温暖化やらでめちゃくちゃな天気が巻き起こり、四季をはっきりと感じることも昔よりは難しくなっている。

まあ、これは僕の穿ちすぎで彼女はそんなことを言っているわけではないだろうから、それなりの返事をする。

「大丈夫。僕は気候の変動や、台風とかで季節感じているから」


「・・・・それ絶対に嘘だよね」

「うん。よくわかったね。大正解」

「私の事馬鹿にし過ぎだよ!

なんだと思っているの、まったく」

尚もぶつぶつ文句を隣で言っている彼女を無視して、思い返してみる。

確かに季節とかってそんなに気にしたことなかったなと。

嘘と言われてしまったけれども、彼女に言ったことはあながち嘘というわけではない。

僕にとって季節なんて、台風が来るから学校はどうなるだろうとか、そろそろ衣替えの時期だから準備しなきゃとか。

こんな感じで僕にとっての季節の変わり目は、イコール気候の変動だ。

その程度のものでしかなかった。

それで十分だった。

今もそうなのかと問われると、少し首をかしげてしまう。

あの世界を見たからか、僕の中で季節への見方が少し変わったように思える。

いや、季節だけではなく、僕が目にしているものも彼女に会ってから変わった気がする。

以前より色んなところに目がいくし、考えるし、感じる。

幽霊とばかり接していたら、世界は狭まると思っていたが、そうではないこともあるらしい。

僕のように。

自分の考えを、自分で変える日が来るなんて。

「ねぇ、聞いているの!」

小言で煩い幽霊さんには感謝すべきなのかもしれない。

「ごめん、神様からのありがたいお言葉を聞いていて、全くレイの話が入ってこなかった。

人間、ありがたみのある方を優先してしまうのは、致し方ないことだよね」

「それも嘘!」


「大正解」

まぁ、今はまだ言う気も、勇気もないけれど。



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