君がうたう七つの子
レイの話を聞かず、挙句軽口を叩いてしまった僕に、彼女の文句が弾丸のように飛び、それに僕がへとへとになった頃、祭り会場から帰ってくる人がちらちらと見えてきた。

「はっ。もうそんな時間?

あちゃあ、しまった。遅くなっちゃった。

しょう君帰らないと」


彼女はその姿を見て我に返ったのか慌てて、僕にすぐに帰るように促した。

僕としては彼女からのお説教という名の拷問から解放されることにほっとした。

なんたって、僕がよそ見をすることも許さずに彼女から怒られていたのだ。

ここまで感情を乱す彼女も珍しいが、僕が返事を濁したり、話を聞いていなかったことが、相当お気に召さなかったようだ。

ここまで怒られることは僕の人生でも無かったので貴重な経験と言えば聞こえはいいが、もう勘弁してほしい。

出来ればこの先も。

彼女の話はある程度聞くことと、あまり茶化し過ぎないようにと頭に焼き付けて、僕は彼女に逃げる気持ちがばれないスピードで、でも出来るだけはやくその場を後にした。

忘れずに”また明日”と言いあって、彼女と手を振りあった。

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