君がうたう七つの子
「顔色が悪いようですが、大丈夫ですか?

随分疲れてる様にも見えますし」

考えて、隣の彼の事が気にかかった。

近くでよく見ると顔は血色がよくなく、隈もひどい。

本人は気丈に振る舞っているつもりなのだろうが、どうしても暗さが先にたってしまう。

その姿はとても痛々しく、レイが見たらどう思うだろうかなんて余計なことを考える程だった。

「初対面の君に気をつかわせるほどなのかな―――

でも、そうだね。

うん。色々あってね。

いや、色々じゃないな。一つだ。


"たった"一つとは、とてもじゃないけど言えない大きな一つだ」
そんな一つに振り回されるなんて情けないと思うかい?


呟くように吐き出された言葉に、僕は静かに首を振る。

言葉などなくても、彼にはそれで十分だったようでありがとうと力なく笑った。

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