最悪なウェディング~鬼上司と恋の予感?~
「あの……もしかして」
そう言おうとしたらズイッとウィスキーの
入ったグラスを差し出してくる。
えっ?
「飲め。嫌な事があった時は、飲むのに限る」
社長は、そう言ってきた。
「えっ……あの、はい」
言われるがままグラスを受け取ってしまった。
やっぱり、慰めようとしてくれてる?
思わない彼の優しさに戸惑うが
ドキッと心臓が高鳴ってしまう。
しかし
その厚意に甘えてしまったのがいけなかった。
お酒がもともと弱いのと今までのうっぷんが一気に
爆発しべろんべろんに酔ってしまった。
「智也は、たまに優柔不断なところが
あったんです!!
ねぇ、聞いてますか?酷くないですか~?」
泣きながら必死に訴える。
「聞いてる、聞いてる。
お前……酔うと泣き上戸になるんだな?」
呆れるように溜め息を吐く恵梨香のお兄さん。
「えっ?何か言いました?」
「何もない。まぁ……その方が都合がいいが」
「ふぇっ……?」
私は、この時
まったく分かっていなかった。
ニヤリと微笑むお兄さんの思惑に……。