最悪なウェディング~鬼上司と恋の予感?~
このイライラをどうやってぶつけたらいいの?
「智也。あんたねぇー」
居ても立っても居られずに智也の頬を叩こうとした。
だが、出来なかった。
ガシッと誰かに腕を掴まれてしまったから
えっ?
振り返ると背が高くずいぶんと綺麗な顔立ちをした
男性だった。
思わず心臓がドキッと高鳴るほどだ。
するとお腹を痛がっていた恵梨香が
「お、お兄ちゃん……」と言ってきた。
えっ?恵梨香のお兄さん!!?
恵梨香に年の離れたお兄さんが居るのは、
知っていたけど直接会ったことはない。
確か海外の大学に進学して向こうで就職したはずじゃあ……?
驚いて見ているとそのお兄さんは、
私の手を離して恵梨香に駆け寄って行く。
「大丈夫か?恵梨香……」
「お兄さん……ごめん。お腹が……赤ちゃんが……」
「大丈夫だ。
今すぐに病院に連れて行ってやるからな。
おい、お前。今すぐに救急車を呼べ」
えっ?私!??
そのお兄さんが指示をしてきた相手は、私だった。
何で私なのよ?