cherry blossom
このままもう目を覚まさなかったらどんなに楽なんだろう。
……なんてね、
やめやめ、暗いことばっか考えすぎて
最近まともに笑えてないや。
ふ、と俯くと、今の自分の姿にようやく気付いた。
「……まったく、随分派手にやってくれちゃって……
制服も、タダじゃないってのにさぁ……」
涙はとっくの昔に枯れ果ててしまったせいで、
悲しいという気持ちでもなくただひたすら
虚無感のただようなか、
所々血のにじんで、ボタンのとれたボロボロのブラウスと
ホックの壊れたスカートが見えた。
「……やーね……もう………」
こんな格好じゃ外にも行けないし
とにかく、着替えなきゃな。
痛む体を無理矢理奮い立たせて、
洗面所へと向かった。
鏡に映るのは表情がストン、と消えた如月咲の顔だ。
……最後に笑ったの………か。
なかなかするどいよなぁ、高嶺くんは。
出会ってまだ1週間も経ってないのに。
どこまでも「自分」を貫いていく、
「人」からも「自分」からも、逃げない。
「高嶺くんは、強いんだなぁ……ははは。
……かーっこいー……」
真っ白な新しいタオルを握りしめたまま
小さくため息が漏れた。