cherry blossom
ガチャリとドアが開いて中に入ってきたのは
よく見知った顔...細フレームの眼鏡をかけた、もしゃもしゃの髪。
図書室の司書の佐倉さんだった。
「...あ。来てたんですね。如月さん」
「...佐倉さん」
湯気のたつマグカップを
積み重ねられた本の山のうえに置いてから、こちらに微笑んだ。
「好きなだけいてください。図書準備室なんてどうせ誰も来ませんから」
図書室の隣にある、知っている人はごく少ない小さな部屋。
それがこの部屋。
所せましと古本の山が築かれていて
本棚にぐるりと囲まれている。
心から休まる場所。