君だけを見つめてる。〜10年間の純愛ラブストーリー〜
夏が過ぎて、秋が来た。
野球の大会は負けてしまった。
あれから、八代とはあんまり話せなくて。
さいきんの八代はずっと、授業中も外を眺めてばかりで。
早く野球したいというのが授業中からもらわかる。
そして、ビッグイベントである体育祭という学校行事が来たのだ。
「はーい、じゃあ体育祭の出し物決めまーす!!」
委員長が体育祭に誰が何に出るかを決めているようだ。
「借り物競争2人でたい人〜?」
借り物競争とか、走るの絶対いやだ。
すると、あたしよりも前の席である孝之が勢いよく手を挙げたのだ。
「おれ、やりたい!楽しそうじゃん!」
「はあ?あんたばかじゃないの?あんまやりたがる人いないじゃんか」
孝之と潤が仲良く言い合いしている。
すると、
「あ、慎吾〜、一緒にやろうぜ?」
孝之が八代を指名したのだ。
ばかだなあ、孝之。
八代がやるわけないじゃん。
「いーよ。」
「え?」
思わず声が出て、八代が振り向いた。
「え?」
「いや、やるとは思わなくて」
「別になんでもいいよ」
「いえーい!じゃあ、おれら借り物競争〜!!」
まじかあ。
そして、話し合いが進みあたしと潤はリレーに出ることになった。
「杏里〜頑張ろうね!!」
「うん、まあ別にいいけど」
「孝之、なんなわけ?あんな張り切っちゃって」
「愚痴言いながらも楽しそうじゃーん」
「えー??そんなことないよ」
「孝之のことスキなんでしょう?」
「え?あっいや、え?」
「いや、知ってるよ付き合い長いんだから」
「あー、まあそうだよねえ…」
「両思いだと思うんだけどなあ」
「ないない、あいつ好きな子いるもん」
「え?でも孝之、彼女いなくない?」
「うん、でもほら、さいきんよく購買で話してる先輩の人。その人と話してるときの孝之、照れまくりの嬉しそうだもんいやでもわかる」
んー。
ああ、わかった。
あたしと潤は4限が終わると、購買でごはんを買う。
そのときに、よく八代と孝之と新もくるんだけどさいきん、やたらと3人に絡む2人ぐみの先輩がいるのだ。
3年生の先輩で、ひとりは小動物みたいでふわふわコテでいつも巻いていて可愛らしい人。
その人が孝之とよく話している。
もうひとりは、結構背が高くてショートカットの綺麗が似合う人。
そのひとは、八代に話しかけていてさいきんその5人ぐみをよく見る。
「その人、石黒 真紀っていうんだけどたぶん両思いなんだよね」
「え、そうなの!?え、え、早く奪わないと!!」
「いいんだよ、あたしは。好きな人が幸せになることが1番だもん」
「ふーん。あたしはいやだな」
「じゃあ、慎吾のことどうすんの?」
「大好きだよ。もうたぶんあたしにはあいつしかいないってくらい。」
「告らないの?」
「毎日見つめてんだけどなー。気づけ〜って。」
「はははッわかる!!杏里めっちゃ見つめてるよね」
「うるさい!あたしには、もう八代杏里になる準備はできてるんじゃ」
「ひょー。こわいこわい。もうお嫁さんになる予定?」
「うるさいぞ。いいんだよ、有言実行してやるわい」
そして、あたしはこのあと事件が起こるなんて全く知らなかった。