君だけを見つめてる。〜10年間の純愛ラブストーリー〜
焼肉屋さんの席に座ると、いつも通りにあたしの前にはふたりが座る。
「なに頼む〜?」
「んーあたしコーラ!」
「俺、りんごジュース」
「じゃあ、あたしオレンジジュース」
「杏里っていっつも、オレンジジュースだよね」
「あ、うんおいしいもん」
「飽きない?」
「飽きないよおいしいもん」
「そういや、慎吾もいつもオレンジジュースなんだよなあ」
「えー、なんでだろ」
「てか、お前、慎吾とどうなわけ?」
飲み物が届いて、飲みながら孝之はあたしを見ていう。
「なんもないよ」
「なんもないわけないだろ。いっつも慎吾のことみてんじゃん」
「え?なんでしってんの。あんたあたしよりも前の席じゃん」
「え、いや普通にいつも」
「え、なに授業中あたしのことみてんの?きもーい。やめてよー。潤ー。」
「ほんとよ、気持ち悪いわね」
潤は、ちょっと本気気味に孝之を見ながらお肉を焼いた。
「ああ?見てねーよブスのことなんて」
「ブス?どこがよ言ってみなさいよ」
「どこがってお前まずその言葉遣いどうにかしろよ。あと、髪色。お前らふたりだけだぞそんな明るい髪色してんの。」
「似合うでしょ??」
「似合うもなにも、杏里が金髪、潤が赤髪って。お前ら俺が野球部のやつらとかにたくさん言われんだぞ」
肉をがつがつ食べて白いご飯をばくばく食べながらあたしたちふたりを見て言った。
「これ、茶髪だから!!」
「ほぼ、金だろ。てか、校則髪染め禁止だろ」
「あー?あんた、「なに言われてんのよ」」
「あ?まず、おれ、野球部。坊主。真面目。お前らふたり。帰宅部。髪色が激しすぎる。化粧がケバすぎる。不真面目。なんでおれがお前らふたりと幼なじみなんだとか、ほんとに幼なじみなのかとか」
「なにそれ、あたしと杏里がギャルみたいな言い方しないでよ!」
「いやいやそうだろどう見ても」
「そういえば、あした体育祭だよ楽しみだよ最高。」
いきなり潤が話題を変えたとき、孝之の顔が少し変わったのをあたしは見逃さなかった。
「なに孝之。なんかあんの?」
「な、なんもねーよ」
「てかさ、あんたが部活行ったとき真紀さんが教室きたわよ。」
潤が言った瞬間、口に駆け込んでいたごはんがつっかえたのかごほごほした。
「うわ、きたな!もうやめてよ」
「いやっ…ゲホッな、なんで?」
「しーらないなんか、いないって言ったらいなくなっちゃった」
「ふーん、そうか」
なんで、潤は普通でいられるのだろう。
あたしならいられない。
八代が誰かの彼氏になったら。
あたしは、この世が終わるくらい泣くだろう。
そのくらい、女はいつも恋愛に命かけてるはずなのに。
なんで、傷ついてるはずなのに。
そんな笑っていられるのだろう。