Dear.


カナは、ちょっと笑って。

「うん、なんかさ。みさ、すごい楽しそうだったから、強くなったんだなあ、って思って…」

「強く…なった?」

「うん。今日、中一のときと同じようなことがいっぱいあったんじゃ、ないかなって思って…」

「あ……」

「いっぱい、思い出が蘇ってきたのかな、って…。」

勝手な推測なんだけど、と付け足して。

「中学のときは、みさ、死んじゃうんじゃないか、って心配してたけど…、」

「カナ、わたし、もう、大丈夫だよ…」

「うん、わかってるんだけどね。ごめんね、こんな話して、」

カナは、涙を拭いながら、言った。

「カナ……」

わたしの目にも、じわっと涙が浮かんできた。

「カナ、わたし、最近、涙脆くなってきてるんだから…、泣かせないでよ……」

「涙脆い、って…お年寄りの人みたいだよ…」

わたし達は、泣きながら、笑いあった。
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