Dear.


「んー、どこかなー、」

「え、場所を目指してるんじゃないの?」

きょろきょろと、辺りを見回しながら進むカナ。

「あ、いたいた! おーい、和泉ー!」

「…え、」

カナは、和泉くんと咲真くんの所へわたしを引っ張って走る。

「何?」

「あれ、こばなつは?」

「ん、彼女のとこ。自由時間になった瞬間に走っていった」

「あいつ、彼女いんの!?」

「めっちゃラブラブだよ」

「マジで!?」

ケラケラと笑ったカナは、スマホを男子二人に見せる。

「ま、いいんだけど。で、二人共、今、スマホある?」

「あるけど」

「あるよ」

二人共、スマホをポケットから出す。

わたしが言えることじゃないんだけど、スマホって、本当は禁止されてるんだよね…。

何のためらいもなく、スマホを見せ合う三人に、ちょっと笑ってしまう。

「うん。みんなあるね。よしっ、アドレスとか、交換しよ」

「えっ!?」

そんなことを考えていたから、わたしは、カナの一言に、すごくびっくりしてしまった。
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