Dear.
ღ
ざわめいているゲーセン内で。
わたしは、咲真くんがリズムゲームで高記録をたたき出すのを眺めていた。
林間学校のときも思ったけど、咲真くんって多才だよなぁ……。
「あー、ミスったぁ!」
ゲーム終了の音と共に、咲真くんが悔しそうに。
「お疲れ〜」
炭酸のジュースを投げる和泉くんに、咲真くんはそれをキャッチしてプシュ、とプルタブを開けた。
「ねぇ、あたし、あんたにお金貸したよね?」
「あー、うん」
「じゃ、そのお金、ゲームで返してよ。あのぬいぐるみ取って」
カナが和泉くんと話しながら指さしたのは、UFOキャッチャー。
「はぁ、ま、いいけど」
「おっしゃ、…みさ、ごめん、後で合流しよ! LINEで連絡するから!」
「うん、おけ」
わたしが頷くと、カナと和泉くんは二人で歩いていった。