Dear.
「今野、ギャップありすぎる気が…」
つぶやく咲真くんに、わたしは、振り返る。
「え?」
「いや、これ、 飛びこんでいくほど好きなのかな、と思ったから、」
「ギャップって…?」
「ゾンビゲームだから。今野って、そういうのムリな感じに見える」
「ぞ、ゾンビゲーム!?」
ゲーム機の中でやっと顔を上げるわたしは、ゲーム画面を凝視する。
「うわ…」
思わず、口から漏れた声。
どうやら、このゲームは、咲真くんの言う通り、ゾンビゲームのよう。
しかも、ガッツリ系の。
「え、今野、まさかの…?」
「絶対無理ー!」
ゲーム機の中に、わたしの悲鳴が響いた。
「うーん、お金入れちゃったからな…、無理なら、止める?」
「ムリ、だけど、大丈夫…。頑張る…」
「なんか言ってること矛盾してるけど、本当に大丈夫?」
暗いゲーム機の中で、ゲーム開始のカウントダウンが始まる。
「大丈夫! 助けてね、咲真くん」
わたしは覚悟を決めてマシンガン型のコントローラーを掴む。
こう見えても、シューティングゲームは、得意な方だ。
わたしを見た咲真くんは、ふ、と笑って、コントローラーを掴む。
「了解」