Dear.


カナが、ちょっと照れくさそうに笑いながら。

「みさ、明日、誕生日じゃん? 一日早いけど、お祝いしたくって! このお店、予約すれば、バースデーケーキが食べられるんだよね!」

「ごめんな、当日じゃなくて。涼が、明日は部活が長引くみたいで。四人で集まれるのは、今日だけだったから…」

咲真くんも、ちょっと困ったように笑う。

「ううん、ありがとう…。よかったのに、誕生日ぐらい」

「そんなこと、ないよ! みさの誕生日は大事なんだから! …で、はい、これ、あたしと涼からのプレゼント!」

「え、あ、ありがとう!」

手渡される紙袋。

「見てもいい…?」

「どうぞどうぞ」

笑顔のカナのお言葉に甘えて、紙袋を開けると。

可愛いブレスレットが入っていた。

それは、わたしが欲しいな、と思って眺めていたブレスレットで。

「それ、毎回、みさが眺めてたから。欲しいのかなぁ、って思って」

「いいの? こんなものもらっちゃって」

「いいよ。みさの誕生日じゃんっ!」

カナのその言葉を聞いて、不意に、嗚咽がこぼれる。

「み、みさ!?」

「今野?」

「どうした?」

あまりにも唐突な嗚咽に、三人は驚いて。

それに構わず、涙はぼろぼろと流れていく。

「なんで、みんなして、わたしを泣かせにくるのよぅ……。嬉しいじゃんか…」

わたしが、めちゃくちゃな感謝を伝えると、三人は、柔らかく笑ってくれた。

…ああ。わたし。

こんな幸せで、いいのかなぁ。



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