Dear.


「ふぁ……」

隣で、咲真くんがあくびをする。

「咲真くん、興味ないんだね?」

くすくす笑いながら言うと、咲真くんが眉をひそめた。

「だって、めんどいじゃん…」

そんなことを小声で話していると、和泉くんが手を上げた。

「はい、和泉」

「小林咲真くんを推薦しまーす」

「は!? おい、涼!?」

和泉くんの突然の推薦に、ガタッと音を立てて立ち上がる咲真くん。

「だって、お前、帰宅部じゃん。運動神経いいし」

「はいはい、小林咲真の名前が上がったけど、賛成の人?」

バッ、と男子の手が一斉に上がる。

続いて、カナが手を上げると、パラパラと女子の手も上がって。

クラスのほぼ全員が、手を上げる、という結果になった。

「で、結果的にこうなったけど、やるしかないよねぇ」

先生の意地悪な笑顔に、咲真くんの顔が引きつって。

「……はい……」

うつむきながら、返事をした。
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