Dear.


「うぇーい、終わったぁーっ!」

HRが終わって、カナが変な声を上げる。

「変な声だな、相澤」

隣の席で、咲真くんがボソリとつぶやいた。

「カナは、いっつもあんな感じ…、ていうか、咲真くん、早速今日の放課後から体育祭の実行委員会あるんだ?」

わたしは、スクバに教科書やら、ノートやらをどさどさ詰め込みながら、チラリと横目で咲真くんを見る。

長袖短パンの体育着の格好で、若干ぶすっとした顔。

「そうなんだよなー。ブラック企業じゃね?」


「ぶ、ブラック企業って……」

わたしは、少し笑ってしまった。

「…今日は、何するの?」

わたしが涙をぬぐいながら言うと、咲真くんは、足をぶらぶらさせた。

「んー、何か、顔合わせがメインらしいけど、看板作りもやるみたいだから、汚れてもいいように、この格好なんです」

咲真くんは、両手を広げて体育着を見せてくれる。

「そうなんだ、頑張ってね」

わたしが笑いながら言うと。

「ああ」

咲真くんもちょっと困ったように笑った。

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