Dear.
ღ
「カナー、帰ろー」
「ん、おけー、」
咲真くんが実行委員会に行って、少ししてから、わたしとカナは教室を出た。
「あ、ここで実行委員会やってるんだ…」
通りかかった教室に咲真くんの姿を見つけたわたしは。
その隣に座っている女の子に目を止めた。
「あ、あの女の子……」
この前、咲真くんのことを見に来ていた女の子だ。
この前はよく顔を見ることはできなかったけど、あの子は、カナ情報によると、陸上部の女の子らしい。
長めの髪を揺らして笑っているその子の向こうから、咲真くんがわたし達に気づいた。
ちょっと笑って、手を小さく振る咲真くんに、その女の子がこちらへ振り向いた。