Dear.
「ご…めん。なん…か、分かんないっ…ん、だけど、ごめん、…ごめんね、っ…」
わたしは、しゃくりあげながら、目の前の咲真くんを見上げる。
その、瞳は、かすかに、揺れているように見えた。
自分の持っていた物を地面に置いて、わたしの物を持ってくれる。
「今野、俺……」
そして、何かを言おうと、口を開きかけて、小さく首を振った。
「…………ごめんな、」
長い前髪で目を隠す咲真くんの表情はよく分からなかったけど。
(なんで…謝るの…?)
わたしの目には、咲真くんも、哀しんでるように、見えたんだ……。