Dear.


「ねえ、涼。あたし達のこと見て、何か気付くことない?」

「え、なんだよ、いきなり」

目をパチパチさせながら、わたしとカナを交互に見る和泉くん。

「分かんないのー?」

頬をふくらませるカナの前で、少し悩んでから、和泉くんはパチンと指を鳴らした。

「分かった! 二人共同じ髪型だ?」

『正解!』

その答えに、同時に声を出すわたし達。

さっき、カナにわたしの髪もポニーテールにしてもらって。

おそろいの髪型なんだよね。

「あ、咲真くんは?」

「あー、サク? アイツ、実行委員だから、先に行って準備するんだって、さ。LINEで来てた」

「え、和泉くん宛に?」

「いや、俺らのグループに」

「うそっ!」

慌ててLINEを確認。

確かに、メッセージ来てる………。

実行委員、か。

また、水沢さんと一緒なんだろうなぁ……。

「実行委員といえばさ、あの女子いるじゃん。水沢…明日香、だっけ?」

「いるねぇ。どうしたの?」

「あの子陸上部じゃん? みさ、中学の頃とか、会ってないの? 大会とかで」

「ど、どうだろうね…、会ってても、覚えてないかも……」

わたしとカナでそんな会話をしていると、和泉くんが、え、という声を漏らした。
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