Dear.
「今野って、中学の頃、陸上部だったの?」
「え、う、うん……? 中二の頃に、辞めちゃったけど……」
「え、なんで、」
「え、いや、なんか、疲れちゃって……」
わたしが苦笑いしながら答えると、和泉くんの目が、一瞬だけ見開かれる。
ほんの一瞬だけだったので、もしかしたら、わたしの気のせいだったのかもしれないけど。
…少し、引っかかる。
最近、咲真くんといい、和泉くんといい、どうしてわたしが元陸上部だったことに反応するのだろうか。
カナが小さく息を呑む音がした。
『まさか……。』
カナの口が、そう動いて。
「カナ………?」
わたしの声に、我に帰ったようなカナは、少し強ばった笑みを返す。
「ん? どうしたの?」
あまりにも不自然なその言葉に、なんだろう、すごく、不安になった。