Dear.
✤
「咲真くん!」
「おー。今野、相澤、涼、おはよ、」
「おはよ」
高校のグラウンドに出ると、本部のテントの前にいる咲真くんの姿を見つけた。
「朝早くから、大変だね。頑張って!」
「ああ」
「あれ、ミズサワさんは?」
カナが水沢さんを探してきょろきょろする。
「明日香なら、今どっか手伝いに行ったとこ」
「あすかぁ? ずいぶん仲がよろしいようで」
カナが皮肉めいたことを口にすると、
「相澤も涼のこと名前呼びじゃん」
と、咲真くんもニヤリとしながら返す。
わたしが、ずっと言いたかったこと。
カナの反応は、どうなんだろ…?
「そうだけどっ! あたし、名字呼び、めんどいから嫌いなの。それに、そんなん、今どーでも、いいし」
まくし立てるように言ったカナ。
顔が…、赤い、気が……。
「みさー??」
にやけてしまっていると、カナの低い声がして。
振り向くと、恐ろしいほどの笑顔のカナがいた。
「ごめんなさいぃっっ!」