Dear.



「咲真くん!」

「おー。今野、相澤、涼、おはよ、」

「おはよ」

高校のグラウンドに出ると、本部のテントの前にいる咲真くんの姿を見つけた。

「朝早くから、大変だね。頑張って!」

「ああ」

「あれ、ミズサワさんは?」

カナが水沢さんを探してきょろきょろする。

「明日香なら、今どっか手伝いに行ったとこ」

「あすかぁ? ずいぶん仲がよろしいようで」

カナが皮肉めいたことを口にすると、

「相澤も涼のこと名前呼びじゃん」

と、咲真くんもニヤリとしながら返す。

わたしが、ずっと言いたかったこと。

カナの反応は、どうなんだろ…?

「そうだけどっ! あたし、名字呼び、めんどいから嫌いなの。それに、そんなん、今どーでも、いいし」

まくし立てるように言ったカナ。

顔が…、赤い、気が……。

「みさー??」

にやけてしまっていると、カナの低い声がして。

振り向くと、恐ろしいほどの笑顔のカナがいた。

「ごめんなさいぃっっ!」



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