Dear.
びっくりしたせいか、ちょっと体を乗り出してしまったわたしに、眉を下げる明日香ちゃん。
「ごめんね、嫌だった?」
「ううん、そんなことないよ!! ごめんね、まぎらわしいことして」
「そう? 良かった」
そう言うと、彼女はふんわりと笑った。
この子、可愛いな……。
「仲良くなりたいな、と思ってて。中学の頃、陸上部だったよね? 」
大会で見たことあるんだ、と続けて。
「わたし、みさちゃんと短距離走ったんだけど、負けちゃって。それをずっと覚えてたんだ」
「え、そうだったの? ごめんね、覚えてないかも……」
「ううん、大丈夫。それで、高校で見つけて、嬉しかったの。仲良くなれるかな、と思って」
「そんなふうに、思ってくれてたんだ……」
「うん。……大丈夫?」
「うん! ぜひ!」
そうして、明日香ちゃんとLINEのグループを作った。
「ありがとう…! ごめんね、時間取らせちゃって」
スマホを抱きしめる明日香ちゃん。
「わたしは、大丈夫だけど、明日香ちゃんは、実行委員の仕事、大丈夫?」
その言葉に、はっとした顔で、
「あ! 忘れてた! ごめんね、わたしが話しかけたのに!」
慌てる明日香ちゃんに、苦笑するわたし。
「大丈夫。頑張って!」
「うん。ありがとう!」
そういって、走っていく明日香ちゃんに、わたしもカナのことを思い出して、探しに走り出した。