Dear.


「相澤、俺にも日焼け止め貸してー、って、お前ら何で泣いてんの?」

「貸さないし、泣いてないし! あっち行ってよ! 邪魔!!」

咳き込みつつも手をぶんぶん振って和泉くんを追っ払おうと奮闘するカナは、虫除けスプレーを噴射した。

「うわっ、おい! ちょ、やめろって!」

「早くどっか行って!」

ギャーギャーと口喧嘩を始めた二人に
斎藤先生の注意が飛ぶ。

「おいお前ら、カップル誕生には早いから。まだ開会式も始まってないんだけど」

「んなっ!」

「違います!」

二人して赤い顔をして言い返す。

その光景はとても微笑ましいものだった。
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