Dear.
「もう最悪っ! 何なのマジで!!」
ふんっと鼻息荒く歩くカナ。
開会式前の斎藤先生の言葉にまだ怒っているようだ。
怒りつつも、火照った顔を時々手で覆っている様子を見ると、どうなんだろうなぁー、と考えてしまう。
「何よ」
カナにじとーっとした目で見られ、わたしは、慌てて言葉を繋ぐ。
「い、いや……。っていうか、まだ怒ってんの? 開会式はもうとっくに終わってるじゃん」
ぼっ、と真っ赤に染まる顔。
「う、うるさいなぁーっっ!」
「痛っ、うわ、やめてよカナぁ」
暴走してバシバシ叩いてくるカナから逃げて、わたし達は青空の下、走った。