Dear.
ღ
「楽しそうなところ申し訳ございませんが、ちょっと今野もらってくよ」
走り回るわたし達の目の前に、にゅっと白い腕が伸びてきて、わたしの手をつかんだ。
「こばさく?」
「ど、どしたの咲真くん」
びっくりして目をパチパチさせながら言うと、咲真くんは、呆れたように笑った。
「いつまで走り回ってるんだよ。もうすぐ短距離走始まるから」
「え、うそっ、」
「ホント」
「頑張ってねえ、みさ」
ニコニコ顔で手を振るカナ。
「はい、行くよ」
「う、はい…」
わたしは、咲真くんに連行されて行った。