Dear.



「楽しそうなところ申し訳ございませんが、ちょっと今野もらってくよ」

走り回るわたし達の目の前に、にゅっと白い腕が伸びてきて、わたしの手をつかんだ。

「こばさく?」

「ど、どしたの咲真くん」

びっくりして目をパチパチさせながら言うと、咲真くんは、呆れたように笑った。

「いつまで走り回ってるんだよ。もうすぐ短距離走始まるから」

「え、うそっ、」

「ホント」

「頑張ってねえ、みさ」

ニコニコ顔で手を振るカナ。

「はい、行くよ」

「う、はい…」

わたしは、咲真くんに連行されて行った。
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