Dear.
「じゃね、咲真くん」

「ん、また明日」

何か用事があるという咲真くんに挨拶をして教室を出た。

…あーあ、カナがいないから寄り道しても楽しくないしなぁ。まっすぐ家に帰りますか。

そういえば、さっき通知がきてたな…。多分、カナからだろう。電車に乗りながら見よう。


靴箱で靴を履き替えていると、明日香ちゃんが誰かを待つように立っているのが見えた。

ー待ち人来たる。

そんな様子で顔を輝かせた彼女は、すごく綺麗だった。

(これはもしかしなくても…)

ー咲真くんが、明日香ちゃんの隣に立って。

2人が歩き出す。

きっと、2人ともわたしには気づいていない。

楽しそうに話しながら歩く2人を見て、何だか、哀しくなった。
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