Dear.

ー雨。雨。雨。

窓際の席で、窓に額をくっつけるようにして座る。

額に当たるぬるいガラスの外を水滴がいくつも滑り落ちていくのが見えた。

「……はぁ」

昔は、雨は嫌いじゃなかった。

…昔は、だけど。

わたしは、窓から顔を離して席にもたれた。


『次は、ОО。ООに止まります。お降りの方は…』

家の近くのバス停の名前に、ほぼ無意識にボタンを押して。

バスを、降りた。

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