Dear.
ービニール傘を雨が打つ音が聞こえる。

足元だけを見るようにして歩いてきたので、今どこを歩いているのか不安になって、顔を上げた。

「あ…」

見覚えのある道に、思わず立ち止まる。

いや、見覚えのあるどころじゃない。


ー中学2年生まで、毎日通った通学路だ。

何度も優くんと歩いた道。

目の前を水しぶきをあげながら走り抜けていく車。

ここは。

忘れもしない。



優くんが亡くなった、交差点だった。

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